第15章 有村菜津美の抱く疑念

有村菜津美ははっきりと感じ取っていた。工藤達央の変化が、あまりにも大きい。

いまの彼は、どう見ても昔の「役立たず」には見えない。

そのせいで、菜津美の胸には疑問符がいくつも浮かんだ。

――いったい、どういうこと?

だがすぐに、ひとつの可能性に行き当たる。菜津美は思わず口にした。

「分かった。あんた、今までずっと演技してたんでしょ」

「わざと皆に『役立たず』だと思わせてた……そうなんでしょ?」

工藤達央はそれを聞くと、鼻で笑った。

返事はしない。

ただ視線を松田大河へ落とし、短く言い捨てる。

「消えろ」

松田大河は、許されたと分かった瞬間、激痛をこらえて車へ駆けだした。工...

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